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勉強会の日程を公開しました!

RISSではこれまで、DMMオンラインサロン上で会員向けの記事の配信や勉強会を提供してきました。今年度からは本ホームページ上で多様なコンテンツを提供していきます。今年度の勉強会の日程に関してはこちらをご覧ください。

初回勉強会では、田村正勝先生の「社会科学方法論」を書籍化した『社会科学原論講義』の第17章「人間疎外の変遷と深化」を取り上げます(参加申し込みされた方には資料を配信します)。勉強会では、これまでの内容についても概要を説明しますので、途中からでも問題なくご参加いただけます。

RISSは難波田春夫・田村正勝の学問を象牙の塔に留めることなく、広く現代の経済や社会を真剣に考えたい方々すべてに開いていきたいと考えています。当日の会では、事前に読んで考えたことや感じた内容などを皆で共有し、意見交換しながら進めていきます。初回の司会進行は、臼井陽一郎先生(RISS理事、新潟国際情報大学教授)にご担当いただきます。

また、勉強会の終了後には、新しいRISSの活動についても簡単な説明会を開催します。希望者はその後、懇親会にもご参加いただいてより議論を深めることができます。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。

RISS(社会科学総合研究機構)とは?

RISS(社会科学総合研究機構)とは

 「RISS(社会科学総合研究機構)」は、現代社会が直面している危機を、専門分化した社会科学の枠を超えて捉えなおすことを目的とした研究団体です。

 私たちは、政治学・経済学・社会学などの実証的研究を尊重しながらも、それらの背後にある「社会のあり方」や「人間の生き方」そのものを問い返す、哲学的な視点を重視しています。個別分野の知見を寄せ集めるのではなく、それらを貫く共通の問題を明らかにしながら現代社会を理解し、それを実践の基礎に据えること――それがRISSの基本的な立場です。

RISSの成り立ちと学問的背景

 RISSは、2020年5月1日に、早稲田大学社会科学部教授を長年務めた田村正勝と、その師・難波田春夫の学問を継承・発展させるために、その門下生を中心に設立された一般社団法人です。

 田村正勝と難波田春夫により展開された「社会哲学」は、専門分化した社会諸科学の限界を自覚しながら、哲学などの人文知を総合して現代社会の危機を根底から捉えなおす点に特徴があります。

 たしかに「学際的」な学問は、すでに多くの大学や研究者たちのあいだで研究が進められています。それらと比較すると、私たちの共通の土台とする「社会哲学」は、実証的な科学による多面的な考察だけではなく、取り上げる社会的課題の背後にある「意味」を考える、哲学的な考察を重視している点に特徴があります。

 たとえば、地球環境問題に対する科学的なアプローチは、政治学、経済学、法学、社会学、教育学その他、多様なアプローチがあります。それらのいずれもが重要な研究手法です。しかし、本団体では、そうした科学的なアプローチだけではなく、人間の理性的能力への過信や経済主義に対する反省をふまえた、「人間や社会に対するものの見方や考え方の変更」という哲学的な視座が必要不可欠だと考えています。

 もちろん、哲学といってもいろいろな考え方の違いがあります。そして、その考え方の違いが、たとえば自由主義と社会主義の違いのように、大きなイデオロギー対立を生み出してきた長い歴史があります。私たちの団体は、田村正勝や難波田春夫の思想や学問を「共通の参照軸」としています。しかし、両者の思想や学問を教条化することなく、両者への批判的考察も含めて、両者の思想や学問を発展させていきたいと考えています。

RISSの源流となる二人の学者

 両者の思想や学問に関しては、その詳細を明らかにしていくことが私たちの団体の目的のひとつです。そのため、ここでは以下、その導入となる両者の経歴を簡単にご紹介します。

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難波田春夫(1906-1991)

 まず、難波田春夫は、戦前に東京帝国大学助教授としてベストセラー『国家と経済』(全五巻、1938-1943年、日本評論社刊)を執筆し、自由主義的経済学ともマルクス主義的経済学とも異なる、独自の「日本経済学」を提唱した人物です。その学問の特徴は、日本経済が天皇を中心とした国民共同体に基づくものとする国家主義的思想であり、そのため敗戦後にGHQから公職追放を受けました。その後は、東洋大学や早稲田大学などで教鞭を取りながら、自身の思想を徹底して掘り下げ、やがて「自由と平等という相矛盾するものが実在の共同体において一致している」という、独自の立場(相互律)からの社会哲学を展開しました。

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田村正勝(1945-2025)

 つぎに田村正勝は、難波田春夫が早稲田大学社会科学部で教鞭をとっていたときにその下で学び、難波田の後任として同学部の看板講義「社会科学方法論」を約40年担当した人物です。田村は、難波田の学問と思想の骨格を継承しながらも、現代の市民社会を基礎づけるとともに、人間と自然の関係を問い直す学問へと、難波田の社会哲学を発展させました。
 したがって、難波田の国民共同体論と田村の市民社会論という両者の思想を学問的背景とする本団体は、その意味でも、何か特定のイデオロギーを掲げる団体ではありません。むしろ、現代のイデオロギー対立の根拠を明らかにし、それを超える新しい時代を具体的に構想することが、私たちの社会哲学の目標です。

 また、田村は「歴代内閣の経済指南番」とも呼ばれた木内信胤(1899-1993)にも寵愛され、木内が主宰した㈶世界経済調査会や、RISSの前身である㈳日本経済復興協会などで長年経済社会分析をおこない、一般向けにも社会や経済に関する正しい見方の普及につとめてきました。そうした功績が認められ、令和3年秋に瑞宝中綬章を受章しましたが、その学問的な業績の意味については、まさにRISSがこれから中心となって明らかにしていく必要があります。

RISSの現在の活動

 以上が二人の紹介となりますが、本団体は、この両者の業績をアーカイブして公開すると同時に、その学問の継承と発展を目的に活動しています。思想を保存するだけでなく、生きた思考として開き続けること――それがRISSの基本姿勢です。

難波田春夫(1938)「新しき経済の理念」

https://dl.ndl.go.jp/pid/1566487/1/13

※取り上げる論文は上のリンクから読むことができます(無料のアカウント登録が必要です)。

 難波田春夫、31歳、東京帝大助手時代に雑誌『新日本』(1巻8号、1938年8月)に寄稿した小論である。この『新日本』は、当時の文壇の国家主義を推進した「文芸懇話会」(1934年3月発足)を受け継いだ、「新日本文化の会」(1937年7月発足)が出版した雑誌だ。本誌の目次を見ると、萩原朔太郎、倉田百三、佐藤春夫、斎藤茂吉、保田與重郎、与謝野晶子など、日本文学界の錚々たる名前が並んでいる。難波田はこの後も『新日本』に複数回寄稿し、座談会にも出席しており、学術の世界だけでなく文学界にもその名を知られていた。

 出版当時の時代状況は、1931年に満州事変が勃発し、1935年から国体明徴運動(日本は天皇が統治しているという思想の拡散運動)が広がっていた。『新日本』もその流れのなかで発刊された。そして、本誌の前年の37年には文部省により『国体の本義』が3月に出版され、7月には盧溝橋事件で日中戦争が開始、翌38年4月には「国家総動員法」が公布されていた。難波田自身は、この年2月に『国家と経済 第一巻序説』、7月に『国家と経済 第二巻 古典に於ける国家と経済』を日本評論社から立て続けに出版し、世間がその名前に注目し始めていた。

『新日本』1938年8月号目次

 本稿は、このように戦前の『国家と経済』の第一巻と第二巻の直後に発表され、また翌39年に出版される第三巻(副題「我が国の古典に於ける国家と経済」)との間に位置する。そのため、非常に短い文章ではあるが、それまでの主張の要点が簡潔に述べられているという点で、難波田の初期の思想を把握するのに便利な記事である。

 そのポイントは、当時の自由主義的経済学とマルクス主義的経済学の双方を批判し、日本独自の経済学の必要性を明らかにしている点だ。難波田は、自由主義とマルクス主義の双方の経済学が、ともに「経済の必然性(自律性)」を解明できると考えていることを批判する。

 近代化以降、たしかに自由主義的経済学が説明するように経済は発展してきたが、同時に矛盾も深めてきた。その意味で現代の経済は危機である。しかし、現代の経済は、マルクス主義のいうようにただ必然的に崩壊し、新しい社会に移行するのではない。経済のありかたが変わるには、経済の必然を変容させうる国家の理念、すなわち「民族精神、具体的には日本精神」が必要だ(p.21)。計画経済は経済発展を抑圧する。したがって、「極端な自由経済」も「極端な計画経済」もともに問題があるとするならば、新しい経済は「適度な統制経済に向かはねばならない」(p.21)。

 以上が本稿の要旨である。その後、難波田は『国家と経済 第四巻 日本経済構造の原理的考察』(1941年)で、独自の日本経済学すなわち「家・郷土・国体」という国民共同体に基づく「国民経済三重構造論」を展開する。しかし、それ以前に難波田がここで「適度な統制経済」を主張している点が注目される。この「統制の範囲」(国家の介入の範囲)をどの程度まで許容するかという点が、その後、時代の変化とともに問題となる。そして、難波田のこの統制経済論に対する態度が、本誌から数年後の、大熊信行との論争や軍部の思想との違いとして表面化してゆく。

文責:廣重剛史

note記事「課題解決型学習の前に必要なこと──社会を見るための4層モデル」

RISS理事・廣重剛史による新しい記事を公開しました。
課題解決型学習(PBL)が広がる中で、「そもそも社会課題をどう認識するのか」という根本を問い直し、社会を4つの層から捉える視点を提示しています。
教育・社会課題・現象学に関心のある方におすすめの内容です。

👉 記事はこちら
『課題解決型学習の前に必要なこと──社会を見るための4層モデル』

田村正勝名誉会長のご逝去に際し、謹んで哀悼の意を表します。

先生は、早稲田大学教授として長年にわたり教育・研究に従事され、社会科学の発展に卓越した学問的貢献を成されました。名誉教授となられてからも、なお旺盛な知的探究心をもって研究と社会的発言を続けられ、理論と実践を架橋する社会科学の可能性を切り拓かれました。

また、本機構の前身である日本経済復興協会ならびに日本経済協会において理事長を長年務められ、日本経済の発展と社会的課題の解決に尽力されるなど、その社会活動の成果は誠に顕著であります。

これらのご功績により瑞宝中綬章を受章されるなど、先生の学術的・社会的貢献は広く高く評価されております。

ここに生前のご功績を偲び、深い敬意と感謝を捧げるとともに、先生の御霊のご安らかならんことを心よりお祈り申し上げます。

一般社団法人 社会科学研究機構
理事一同

訃報

本機構の名誉会長の田村正勝先生が逝去されました。

田村正勝 (たむら まさかつ)氏、昭和20年3月3日生(80歳)

令和7年12月20日午前3時逝去

【田村正勝 経歴】

1945年 長野県松本市生れ

1964年 長野県松本深志高校卒業

1974年 早稲田大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)

1982年 早稲田大学社会科学部教授

1984年~1986年 ボン大学客員研究員

1992年~1994年 早稲田大学社会科学部学部長

早稲田大学名誉教授(2015年)

経済社会学会会長(1998年〜2001年)

日本経済政策学会常務理事(2001年〜2004年)

日本経済(復興)協会理事長(2000年~2020年)

社会科学総合研究機構名誉会長(2020年~)

2023年の秋の叙勲にて瑞宝中綬章を受章

故・難波田春夫氏および故・木内信胤氏に師事。著書は『日本経済の新展開』、

『世界経済動態論』、『社会科学のための哲学』、『文明の危機と日本の針路』など多数。

半世紀に及ぶ『景気見通し』や『経済観測』の執筆を元に、

文明批判の視点をも加味して、日本経済への直言を各種メディアに発信。

早稲田大学社会科学総合学術院を中心に多数の後進を育てる。

理事の廣重が登壇!:「現代社会とコミュニティ」

弥生神社 【宗教・文化講座】

講座「共生社会を考える」第二回

「現代社会とコミュニティ」

*オンライン(ZOOM)・会場同時開催 *録画配信あり

◇オンライン 参加申し込み→https://ebina-yayoijinja.work/ws-kaijo0601
◇会場 参加申し込み→https://ebina-yayoijinja.work/ws-zoom0601

6月1日(土)14:00~16:00

講師:廣重剛史
(目白大学准教授)

著書『意味としての自然―防潮林作りから考える社会哲学―』晃洋書房(2018)
http://www.koyoshobo.co.jp/book/b352905.html

「震災時などに、しばしばボランティアやコミュニティの必要性が指摘されます。
なぜ現代ではそれらが重視されるのかを、近代社会の展開という大きな歴史的視点から考えます。

*要ご予約
上記のフォームにご記入の上、送信してください。

*受講料 会場・オンライン 1500円
*学生800円

理事の外村が登壇します:死とは何か―安楽死・尊厳死の意味と意味としての生と死―

5月19日(日)14:00~16:00

◇オンライン 参加申し込み→https://ebina-yayoijinja.work/zoom-inochi
◇会場 参加申し込み→https://ebina-yayoijinja.work/kaijo-inochi

講師:外村江里奈
(東洋大学・早稲田大学 講師)

この講座では、脳死・臓器移植医療や安楽死・尊厳死、緩和ケアを事例として、日常における「いのち」のあり方をあらためて捉えていきます。死とは何か。自分らしく生き逝くとはどのようなことか。これまでとは異なる視点から自身や他者との関係などを見直し、「いま、ここ」の生と死を、生きることができるかもしれません。
死ぬことと生きることを考え、日常にあふれている「いま、ここ」の豊かさを感受してみませんか。

*受講料 会場・オンライン 1500円
*学生800円

◇第3回:7月/第4回:9月に開催予定です。

◇参加費 各回1500円 (学生800円)

特別講義:令和の社会科学方法論

RISS名誉会長で早稲田大学名誉教授の田村正勝先生の特別講義を実施します。

お題目は「令和の社会科学方法論」です。

日時:2024年4月13日(土)15時30分〜17時30分

オンライン開催です(視聴は無料です)。

お申し込みは下記からお願いします。

https://peatix.com/event/create2/3905733/edit#/advanced

奮ってご参加ください。